2012年12月10日月曜日

ドクターZは知っている> 国民会議に期待できるのか(現代ビジネス)

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ドクターZは知っている
国民会議に期待できるのか
2012年12月09日(日)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34227
▼全文引用

(1)
 ついに11月30日から「国民会議(社会保障制度改革国民会議)」がスタートした。将来の年金、医療制度などのあるべき姿などについて論じるというのがその目的で、このほど委員15人を選出した。
 少子高齢化が進む日本では現行の社会保障制度の改革が必須で、どれだけの改革案が出されるのかに注目が集まる。しかし結論を先取りしていえば、この会議は「役所の隠れ蓑」の気配が濃厚で、国民の期待にこたえる成果は生み出せそうにない。
 政府の会議というのは、どのようなメンバーが選ばれているかを見ることで、その「結論」がだいたいわかる。たいていの場合、メンバーを推薦するのは霞が関の官僚で、自分たちにとって望ましい結論を得るにはどのようなメンバーにするのがベストかを逆算して選んでいる。
 もちろん政治家が最終的なメンバー選定に責任を持つが、いかんせん人物に対する情報量が官僚に比較すると少なすぎるので、官僚側の意向が通ってし まうケースがほとんどである。まれに政治家に推薦された有識者がメンバーになることもあるが、多くの場合は多勢に無勢であって、官僚と官僚側推薦のメン バーに最後は丸め込まれてしまう。
 では、「国民会議」のメンバーはどうだろう。
 まず会長の清家篤・慶応義塾塾長。福田政権で社会保障国民会議の座長を務めた人物で、現在は厚労省労働政策審議会委員。官僚の意向を聞きながらそれ以外の意見も聞くバランス感覚は抜群で、民自公の3党合意という枠組みで不可欠な存在といえる。
 大日向雅美・恵泉女学園大大学院教授。厚労省の社会保障審議会少子化対策特別部会部会長や、内閣府の子ども・子育て新システム検討会議幼保一体化ワーキングチームの座長を務めた。保育所と幼稚園の関連団体寄りの意見がやや目につく。
 遠藤久夫・学習院大教授。中央社会保険医療協議会会長、社会保障審議会医療保険部会部会長など、厚労省傘下の部会、審議会の常連。現状肯定的で、厚労省の方針に大きく反することは言わないタイプとの評判も。
権丈善一・慶応大教授。現状の年金制度のままで問題ないと主張しており、厚労省が批判を恐れておおっぴらに主張できないことを代弁する機能を果たした。
伊藤元重・東大大学院教授。各種の政府審議会の常連で有名な経済学者だが、社会保障制度には詳しくない。厚労省にとっては御しやすく、著名な名前を借りられるということで一石二鳥。「国民会議」で出た結論をテレビなどで解説する役割か。

(2)
 永井良三・自治医科大学長。東大病院にも勤務し、天皇陛下の心臓の冠動脈バイパス手術を担当した。優秀な医師で大学病院での経験が長いが、行政や政策に詳しいとはいえず、細かい議論に対応できるか疑問。「国民会議」で出された結論を一般人向けに権威付ける役割か。
増田寛也・元岩手県知事。社会保障は国の仕事とされているが、実際には地方自治体が実務を担う。そこで、地方も考慮しているというメッセージの人選。地方は国から仕事を押しつけられ、財源も十分でないと不満があるが、それを懐柔するつもりだろう。
 こうしてみると「国民会議」は官僚主導がアリアリで、「現状維持+少しのその場しのぎ策」という結論が出るのはミエミエだ。この際、民自公の枠組みを打ち壊して、総選挙後の政権がメンバーを再構築したほうがいいだろう。
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